続★俺だけの家政婦さん
「あ、あの…勝手言って申し訳ないのですが…野島様の担当を私ではなく
別の-」

「却下」

担当を変えてもらおうと丁寧に言ったつもりだったが

あっさり却下された。

でもここで引き下がる訳にはいかない。

「でもー」

「お前、仕事舐めてんのか?」

「え?」

「お前個人がやってる仕事だったら別にいいよ。お前自身も問題だからな。
だけど、一度引き受けた仕事を、始める前から断るって言うのは会社の
信用を傷つけているってわかんねーの?お前んとこの家政婦紹介所が
ここまででかくなったのってお前の力じゃねーよ。お前の母親でもある
所長とそれを支えるスタッフの努力じゃねーのか。
始める前から客を怒らせんな」

ぐうの音も出ないとはこういうことなのだろう。

野末くんの言っていることは正論だ。

母がどんな思いをしてここまで家政婦紹介所を大きくしたのかは

私が一番わかっているはずだった。

悔しいけど反論できない。


「……すみませんでした」

握り拳に力を入れる。

「…わかればよろしい。……って事でよろしくね。家政婦さん」

野末くんは満面の笑みをみせる。


私は…この先の不安しか思い浮かべず

笑顔など作れなかった。

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