続★俺だけの家政婦さん
向かって右側に書斎がある。

「俺はここで仕事をしている。俺の担当が出入りするけどあいつらは
自分たちで適当にやってるからお茶出しとかはいい。それと、この部屋の掃除は
俺が頼む以外しなくていい」

私は肩掛けバッグからメモ帳とボールペンを取り出すと

早速メモを取る。

そして左を指さす。手前の部屋が私の部屋らしい。

「タンスとベッド、テレビもあるから好きに使ってくれ」

「はい」

そして突き当たりにもう一つ部屋がある。

「俺の寝室」

「…はい」

「寂しくなったらいつでー」

「結構です」

野末くんは「冗談だよ。つまんねー奴」と呟やく。

思いっきり聞こえてますよーだ。

そして正面にリビングとキッチンがある。大きさは20畳はありそうだ。

大きなテレビと高級そうなソファーと品の良さそうなローテーブル。

キッチンは対面式で、その前にはダイニングテーブルがある。

人気作家となればこのぐらいの家を持てて

内装もおしゃれにリフォーム出来るって訳だよね。

同い年で高校が同じなのにこうも人生に大きなひらきがあるとは…

うやましい…そして大きな窓からは暖かなひかりが差し込んでいる。

太陽光だけで部屋がとても明るくみえる。

そしてもっと驚いたのは縁側があることだった。

こんなところで月を見ながら月見酒なんて最高だろうな~~

と目を細めてしまうが、ダメダメ

そんなこと出来るわけない。

私は住込みの家政婦なんだから。

っていうかそれ以前の問題だ。どんなに素敵な家であろうが

大嫌いな野末くんの家だ。落ち着けないし酒もまずそうだ。
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