続★俺だけの家政婦さん
どうしてこんな話が書けるのだろう。

高校時代の野末くんは、女の子に興味がなかったのではと

今思う。

モテモテだったし、何度も呼び出されては告白されたけど

野末くんの答えはもちろんNO!悔しいけど私もその一人だった。

しかも私に関しては、女心を踏みにじる様な言葉が返ってきた。

そんな人が女性のハートを鷲掴みするような甘い台詞や

女性の恋する気持が書けるなんて信じられない。

もしかして・・・私と再会するまでの数年間で何かそうさせる出来事が

あった?

誰かと大恋愛した?

話を読み終えた私は憶測ばかりが浮かんでいた。


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「ありがとう」

眠そうな顔でリビングのソファーに腰を下ろした野末くんに

原稿を返した。

野末くんはそれを受け取ると感想を求めてきた。

「悔しいけど。凄くよかった」

「悔しい?」野末くんが首を傾げる。

「そうよ!悔しいわよ。野末くんのくせにこんな胸キュンな
小説が書けちゃうんだもん」

「・・・野末くんのくせにとか、悔しいとか何か引っかかること言うね」

あごに手を当て不服そうに上目遣いで私を見る。

でも本当にそう思ったんだから仕方がない。

そう思わせるような事を野末くんは私にしたのだから

このぐらいかわいいもんよ。

「ご飯出来てるから早く食べてください。
私もやることがたくさんあるんです!」

野末くんは何か私に言いかけたが、思い留まったように

黙々とご飯を食べ出した。
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