続★俺だけの家政婦さん
コーヒーを差し出すと須藤先生は私に座ってとソファーを指さした。

須藤先生は3人掛けソファーに座っている。

まさか隣に座るわけにもいかず、軽く会釈しながら1人掛けに座った。

須藤先生は満足げに頷くとコーヒーを一口飲んだ。

そしてワンショルダーのバッグから

本を差し出した。

「どうせ、野島っちのことだから僕の新刊読ませてもらってないでしょ。
だからこれあげる。もちろんサイン入りだよ」

「え?ほ、本当ですか?わざわざすみません。ありがとうございます」

私は深く頭を下げながら本を受け取った。

「いいよ。それにこれはお・ま・け」

「おまけ?」

須藤先生は身を乗り出すように私をじっと見ると

「そう、デートの申し込みに来たの」というと口角をぐーっと上げて微笑んだ。

「デ?デートですか?」

お恥ずかしい話だが小説の中でならデート気分を十分味わったことは

あるけどリアルなデートは本当に数えるほどと言うか・・・

あったとしても会話も続かなく、思いっきり楽しみたいのに

緊張ばかりして楽しむまでに至らず、結果的に相手をがっかりさせ次の約束もないまま

終わる事がほとんど。

そんな私になんで売れっ子作家がデートを申し込むの?

まさか、私が野末くんの家政婦だから?

だって二人はライバルだし・・・

考えることはマイナスな事ばかりだ。
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