あなたの愛に深く溺れてしまいたい
高梨部長も若干、顔を引き攣らせながら頷いてたし、きっとみんなの様子からして、この場にいる全員が〝苦手〟だと思ったに違いない。


そして柴咲課長の〝苦手〟は、これだけじゃなかった。


「水嶋」

「え、あ、はいっ」

「例の案件は、どうなってる」

「え?例の…ですか?」

「上田課長から引き継いだんだが」

「あぁっ、すみません!今持ってきます!」

「………」


柴咲課長は明らかに、ため息を吐いた。


しかも分かりやすく、聞こえるように。


上田課長と引き継ぎはしてたのかもしれないけど、こっちはそんなの聞いてないし、みんな動揺してるのに、なに自分だけ涼しい顔で仕事始めてんのよ。


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