あなたの愛に深く溺れてしまいたい
「あー、春野さんと前田さんもここで食べていたんだね。助かるよ」

「いえいえ、どうぞどうぞー!」


前田ちゃんは、私の向かいの席から、サッと横に移動してきた。


「いらっしゃい、何にしますか?」

「そうだなぁ、じゃあ俺は唐揚げ定食にするか。柴咲はどうする?」

「……カキフライ定食を」

「はいはい、ちょっと待っててね〜」


注文を聞き終わると、おばちゃんは笑顔でこの場を立ち去って行った。


「春野さんは、鮭定食かい?」

「あ、はい。何だか魚が食べたくなって…」

「先輩、ババくさいですよー。私みたく焼肉定食とかにしなきゃー!」

「うん、もうババァだからいいの」

「えー?」


33歳はまだ若いんだろうけど、25歳の前田ちゃんにとったら三十路超えてるだけで、ババァだと思う。


そんな会話をしていると、高梨部長が豪快に笑った。


「春野さんがババァなら45歳の俺は、もうジジィ通り越して化石だな」

「やっ、そんなつもりで言ったわけじゃ…!」

「柴咲課長は、おいくつなんですかー?」


私が高梨部長に慌てて首を振ったところで、前田ちゃんは何事もなかったかのように柴咲課長に質問をした。


柴咲課長って、いくつなんだろう。まぁ、私よりは上な気はするけどね。


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