あなたの愛に深く溺れてしまいたい
「あー、春野さんは彼氏がいたんだったか」

「あ。えーと、」

「先輩、別れたんですよねー?」

「ちょ、前田ちゃん?!」


ちょっと静かだったと思えば、とんでもないことに口挟んできたよ……まったくこの子は…。


「なんだ、別れたのか」

「んもう!最低ですよね!こんな美人な先輩を振るなんて!あー、やっぱり許せません!!」


前田ちゃん…やめて…。別れたまではいいとして、振られたなんて恥ずかしすぎるっ。


「だから、柴咲課長どうですか?先輩みたいなタイプ!」

「ちょっと前田ちゃん!私一言も、」

「断る」

「は?」


前田ちゃんが勝手に私を推したことも嫌だったけど、なに、私が喋ってる途中に〝断る〟って。


「お前、料理出来ないだろ」

「はぁ?」

「鮭なんか家で焼けるだろ。もしかして焼いたことないとか」

「し、失礼な!鮭くらい焼けます!」


やっぱこの男、大嫌い!合わない!なによ、鮭くらい焼けるっつーの!!


「ついでに、束縛とかしそうだよな。メールばっかして、そりゃ男も嫌になる。かわいそうなのは男のほう」

「………」


この男は、登俊と親友でもやっているんだろうか。それとも占い師か何かなんだろうか。


< 19 / 99 >

この作品をシェア

pagetop