あなたの愛に深く溺れてしまいたい
「どうやら、違う課の女の子と不倫してたらしくてな」

「ふっ?!」


危なく〝不倫っ?!〟と大きな声で叫ぶとこだった…。


それは前田ちゃんも同じようで、口に手を当て驚いていた。


「まぁ、なんだ…。大人同士の問題だからな、周りがとやかく言うことではないんだが、その…な。ミーティングルームで
、いかがわしい行為をしてたみたいでな…。さすがにそれは、な?」

「ミーティングルームって…。私、あそこ結構お気に入りの場所だったのに…」

「私もですぅ。あの空間好きだったのに、入りたくないですね…」


ミーティングルームは、会議室とはまた全然違い、真っ赤なソファがあったり、丸いテーブルがあったり、家具屋さんらしい、そこだけがショールームみたくなっていて、結構好きな人が多いのだ。


もちろん鍵もかけれるから、それで利用していたのかもしれないけど……最悪だ。


「まぁ、そんなんで、柴咲も急だったんだよな?本当ウチの部下が悪かったな…」

「いえ、上田とは同期なんで。皮肉たっぷりで電話してやりました」

「そうかそうか、お前ら同期だったのかぁ〜。反省してたか?」

「まぁ。奥さんにも〝次はない〟と言われたらしいです」


こわっ。柴咲課長の〝皮肉たっぷり〟発言も怖かったけど、奥さんの〝次はない〟も怖すぎる…。


「でもぉ、不倫はダメですね不倫は」

「うん、そうだねぇ。でもさ、好きになった人が既婚者だったら、諦められるのかな…」

「やだ先輩!不倫したいんですか?!」

「ち、違うよ!今、なんとなく思っただけ。もう私も年だし、この年齢ってもうみんな結婚してたりするしさ」

「だから柴咲課長どうですか?」

「だからー!本人目の前にして言うセリフじゃないけど、あり得ないから!」

「えー」


〝えー〟じゃないよ、まったく…。でも本人目の前にして、ひどいこと言ったかな?と、チラッと柴咲課長を見れば、私たちの話なんか聞いてないように、カキフライを口に入れ、白米も同時に運んでいた。


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