あなたの愛に深く溺れてしまいたい
「雪乃ちゃんってさ、柴咲のこと嫌い?」

「えっ?」


突然振ってきた話題に驚くも、小さく頷いた。


「嫌いというか、苦手というか……」

「そっか。まぁ、あいつ仕事には厳しいからねぇ。でも、まさか女の子連れてくるとは思わなかったよ」

「今日の、ですか…?」

「そうそう、絶対あり得ないもん。気があるとしか思えない」

「は…?」


課長に対しての返事ではないことくらい分かってた。


けれど〝気があるとしか思えない〟なんて、そんなこと言われたら〝目上の人〟だとか関係なくなってしまった。


「でも、雪乃ちゃんは嫌なのか〜。かわいそうな奴」


クスクスと笑う松谷課長に対して、顔が歪んでいく私。


それにしても、どうして〝雪乃ちゃん〟って呼ぶんだろう。


あ。大将が、そう呼んでたからか。


だから私は深く考えずに、松谷課長の隣でビールを飲むことにした。


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