あなたの愛に深く溺れてしまいたい
***


「ごめんなさいっ!!」


私は松谷課長に会うなり、思いきり頭を下げた。


「なに、どうしたの急に」


そんな私に松谷課長はベッドの上でネクタイを緩めると、首を傾げた。


私たちは慰め合う関係かもしれないけど、世間様から見れば立派な不倫。


だから食事だとかはしない。ラブホテルも、いつ誰が見るか分からないため、前回から普通のホテルを利用することにした。


時間差で入って、時間差で出る。本当にいけないことをしてると、自覚してしまう。


けれど、松谷課長の唇が重なれば、そんなことはどうでも良くなってしまうんだ。


「柴咲課長にバレました……」

「柴咲に?」

「はい…あの、メール打ってたら、知らないうちに背後にいて……本当ごめんなさいっ!!」

「ふぅん。で、柴咲はなんて?」

「え?……松谷だけは、やめとけ。と…」

「ぶっ、あいつらしいなぁ」


松谷課長は怒らなかった。怒りもせず、柴咲課長のことを〝あいつらしい〟と言って吹き出した。


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