あなたの愛に深く溺れてしまいたい
そう言うと、松谷課長は電話を切った。


「えっ、今のって…」


もしかして、もしかしなくても奥さん…だよね?


「朝までだよ?一回帰って着替えなきゃいけないから、5時まで。いい?」

「松谷、課長…」

「え?泣いてるの?雪乃ちゃん」

「だって、だって……」


絶対的に奥さんが一番なのだから、私のワガママが通用するなんて、これっぽっちも思っていなかったのに。


「本当、可愛いなぁ。もう一回していい?」

「はいっ、」


この時、私は奥さんに勝ったと思ってしまった。


松谷課長は奥さんよりも、私を選んでくれたんだって。


こうなったら、もう止めることは出来なかった。


この朝までコース。松谷課長が毎回嘘を付いて、奥さんの元へ帰ることはせず、私といてくれるようになった。


< 54 / 99 >

この作品をシェア

pagetop