あなたの愛に深く溺れてしまいたい
「いらっしゃい!あれ、初めてじゃない?雪乃ちゃんが誰か連れて来るのって。友達いたんだね?」

「失礼な!私にだって友達くらいいますー!」


大将は私たちを見るなり、とんでもなく失礼なことを言ってきた。


まぁ、確かに友達は少ないし、ここには一人でしか来たことがないから、そう思われても仕方ないんだけど。


「大将、個室あいてます?」

「うん、あいてるよ。個室にするのかい?」

「うん、今日は初めての個室で」

「はいよ、じゃあこっちね」


がはは!と笑っていた大将に個室がいいと伝えると、すぐに案内してくれて、そこに前田ちゃんと向かい合わせで座った。


「私はビールで。前田ちゃんは?」

「あっ、じゃあ私もビールでお願いします」

「はいよ、ビール二つね〜」


席に着くなり、ビールを頼み、それがテーブルにやってくると、とりあえず二人で乾杯した。


「お疲れ様」

「お疲れ様でした」


カチンとグラスを合わせ、ビールを喉に通すとキンキンに冷えたビールが私を幸せにしてくれた。


まずこの瞬間が幸せだなんて、私はもうオヤジ化してしまったのだろうか。


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