あなたの愛に深く溺れてしまいたい
「前田ちゃん…」

「はい」

「私さ、うまく伝えられそうにないから、回りくどい言い方せずに言うね」

「は、はい…」


私が真剣に話そうと姿勢を正すと、聞く側の前田ちゃんまで姿勢を正して聞いてくれようとした。


そんな姿に、やっぱり前田ちゃんはいい子だなと思ってしまう。


「私さ、登俊に顔と身体だけはいいって言われて」

「はい?」


前田ちゃんの可愛いお顔が、一瞬にして崩れた。


「それで落ち込んでたところに、柴咲課長とショールームに行った時に出会った松谷課長と、ここで偶然会って、その日すぐにえっちしちゃって」

「えっ?!」

「しかも相手、既婚者で」

「えっ……」

「私、しばらく不倫してた」

「………」


前田ちゃんの反応は、すごく分かりやすかった。


最後は絶句。きっと私も反対の立場なら、そうだったかもしれない。


「だけど、松谷課長から連絡きて、奥さんにバレそうだからもう会うのやめようって」

「あ…、お昼のメール…ですか?」

「うん、そう。だから、それに気付いた柴咲課長が私を連れ出したの」

「柴咲課長は…知ってたんですか…?」

「うん。ちょっと前にバレてたの」

「そう、ですか……」


こういう空気になるのは分かってたから、あまり言いたくはなかったけど仕方ない…。


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