あなたの愛に深く溺れてしまいたい
「正直、私の大好きな先輩が不倫してたのはショックでしたけど、もう会わないんですよね…?」

「……うん、そうだね。元々、寂しさを埋める為に私は松谷課長に会ってたから。多分…」

「秋野さんのせいで、ですよね…?」

「うん、元々はそう…。松谷課長も同じだったのかもね。奥さんとうまくいってないって言ってたから、多分セックスレスかなんかで、抱く相手なんか誰でも良かったのかも」

「先輩……」


本当、そうかもしれない。えっちできれば、それで良かったのかもしれない。


奥さんとは最初から別れるつもりなんかなかったと思うし、きっと落ち込んでる私は手っ取り早く抱ける相手だったのかも。


「柴咲課長は違うと思います!」

「えっ、前田ちゃん…?」


前田ちゃんは私の目をシッカリと見つめ、そう言い切った。


「柴咲課長は仕事に対してもマジメです。あの容姿も、喋り方も、女の人を弄ぶような人ではないと思うんです」


確かに、前田ちゃんの言うとおり、女は面倒くさいって言ってたわけだし、遊ぶような男ではないと私も思うけど…。


「柴咲課長は絶対今日、えっちはしないと思います!」

「え、でも飲むんだよ…?」

「賭けてもいいです!絶対ないと思います!」

「いや、賭けごとはちょっと……」


あはは、と笑う私に対し、前田ちゃんは至ってマジメに答えていた。


こんなに本気になるなんて、前田ちゃん、柴咲課長のこと好きになった…とかいう展開ではない…よね?


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