あなたの愛に深く溺れてしまいたい
「あの…前田ちゃん…?」

「はい」

「柴咲課長のこと、好きになった?」

「えっ?ヤダ!先輩!!私、好きじゃないですよ!!好きになってたら、もうとっくに先輩に言ってます!」


そうなのか…。好きじゃないのか。


って、私。なに安心してるの。別に前田ちゃんが好きだったら、応援してあげればいいだけのことじゃないっ。


「だから先輩。柴咲課長のこと信じて、飲みに行ってくださいよ」

「う、うーん。わかったよ…前田ちゃんがそこまで言うなら、行ってみる…」

「はい!絶対、先輩と柴咲課長はお似合いだと思います!」

「………」


なにをもって彼女は似合うと言うのだろうか。


そもそもあんな無愛想な男と、合う女なんかいないと思うのだけれど…。


「じゃあ、時間まで飲みましょう!あ、でも先輩はほどほどにしなきゃですよね。柴咲課長に会う時にベロベロになってたら、柴咲課長にまるっと喰べられちゃうかもですし」

「いや、前田ちゃん。おかしくない?だって、柴咲課長えっちはないんでしょ?なら、喰べられる心配は、」

「ノンノン!先輩はベロベロになると色気が半端ないんですよ!いくらマジメな柴咲課長でも我慢できないと思います」


なんだそれ…。いや、そもそも私、飲んでも色気なんか出ないし!でも……。


「じゃあ、私、柴咲課長の前でベロベロになったら喰べられる可能性は…?」

「んー、100じゃないですか?」

「………」


やっぱり行くのやめようかな…。


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