あなたの愛に深く溺れてしまいたい
「雪乃、愛してる」


この言葉を何度言ってくれただろう。


身体を重ねて幸せだと感じてるのに、時たま不安が押し寄せてきて、それが伝わるかのように空也が〝愛してる〟という言葉を与え続けてくれた。


登俊に顔と身体だけがいいと言われ、傷付き、私は手を伸ばしてくれた松谷課長に甘えてしまった。


いけないと分かっていても、身体を重ねることで精神安定剤のようになっていた。


空也が気付いてくれなかったら、私はどうなっていたのだろう。


松谷課長に溺れて、もう這い上がれないようになっていたかもしれない。


「雪乃は、寿退社したいのか?」

「え…」

「俺は結婚してもバリバリ働く女って魅力的だと思う」


ずっと憧れていた寿退社。だけど、好きな人が…空也が、そう言ってくれたら寿退社なんてしなくてもいいのかも。なんて思ってしまう。


「って…結婚?!寿退社?!」


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