理想は、朝起きたら隣に。


何人か友人が話しかけてくれたけれど、頭に入らないままビンゴ大会が始まった。

優衣と比呂さんは二人で番号を交互に引いてホワイトボートに書いていくのを、ただただ目で追う。


一個、数字があったので指先でプチンとビンゴカードに穴を開けた。



「指」

――。

彼が重い口を漸く開けた。

「やっぱ指、綺麗だよね」

「――っ」

その言葉に、私は馬鹿みたいにあの頃の様に体温が上昇した。

「比呂が言ってた。女子や新婦のネイル、全部美春がやったって」

確かに優衣のネイルはカラードレスに合わせて私がしたし、友人たちも勤務先のネイルサロンに来てくれたので、私が全部した。


でも再会した数時間も経ってないのに、話しかける内容がそれってどうなの?

「どうも」

ぐるぐる回った頭で、返せた言葉はそっけない一言だけだった。


「ニューヨークに行ってたなんて知らなかった」


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