理想は、朝起きたら隣に。


「ニューヨークとは言ってないけど、就職決まった時メールしなかったっけ?」

「来てないよ」


お互いなんだか言葉を探る感じの、一言一言が他人みたいなよそよそしさに空気が乾いていく。

「送って返信きたけど」

「知らないって」

また数字がビンゴしたので、プチプチと穴を開ける。

なんだか可愛くない言葉ばかり。
それでもピーチウーロンを持っている彼を見たくないと理由を付けて視線はホワイトボートの数字から離れなかった。


「ニューヨークで何してたの?」
斜めに三つ数字をそろえた私はあと二つでビンゴだった。

なのに手も上げず、ただただ他愛ない会話で時間を紡ぐ。

「コンビニチェーンの展開とか管理とかね」

「ふうん」

総合商社って職業がいまいち分かっていないくせに、広がらない話題でまたすぐ沈黙がやってきた。


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