理想は、朝起きたら隣に。
盛り上がっている輪から完全に外れた私たちは、それでも視線が絡み合うことはなかった。
もっとちゃんと話しあって解決してから上手に別れていたら、今日の再会では普通に話せたのかもしれない。
駄目だ。
緊張して二杯目のピーチウーロンに手が動いてしまう。
彼も特に話すことはないのか、近くで飲みもしない御酒を持って立っているだけだ。
久しぶりの友達との再会なのだから、輪に入ればいいのに。
馴染めてない私に気を使っているのかな。
彼が輪に入った瞬間にでも私は会費だけ置いて逃げ出せるのに。
気付けば三杯目のピーチウーロンが空になっていた。
「リーチ!」
林田さんが両手を上げてぴょんぴょんと周りにアピールしだしていた。
どうやらリーチは私と林田さんだけだった。
「どうする?」
林田さんのはしゃぎっぷりを見て彼がそう言った。
「なんで?」
駆け引きみたいな彼の言葉に、簡単に私の心は揺れていた。
「俺が居ない間に出たミステリー小説、美春の家には全部ありそうだな」