理想は、朝起きたら隣に。
その言葉の意味に気付きたくなかった。
「ビンゴ!」
林田さんが、大声を出した私を振り返る。
「……ごめんなさい。終電があるから帰ります」
「美春!」
優衣がステージから飛び降りて私に走り寄ってきた。
「私、二人に別れて欲しくなくて、でもあの時美春は何を言っても行動しなくて、だから、慶斗さんから来たメール、私が返信したの」
「……何の話?」
優衣の行動に皆がざわざわと私たちを見る。
「あとは直接慶斗さんに聞いてほしい」
その言葉にますます分からなくなって隣の彼を見上げた。
眉間にしわを寄せて何か考えているような姿だった。
「なるほど。じゃあ林田と俺は立場が同じラインか」
「え?」
ざわつく中、彼は私を置いてステージに上がると、一等ではなく何故か三等のプラネタリウムを強奪した。
意味も分からず私は彼の背中を眼で追った。
「あの頃、美春は何を言っても嫌われたって言ってて、でも優衣が合コンに呼び出したせいで、だから、比呂君に出会ったとき連絡先を交換したのは慶斗さんのことを聞きだしたくてだったの」