理想は、朝起きたら隣に。
その瞳を、私は漸くまじまじと見られた気がする。
優しくて、ちょっと強引にリードしてくれたあの時と何にも変わっていない瞳。
「歩きたくない」
だから私は本音を伝えた。
抜けた後、私たちは今までの離れた時間の辻褄合わせをして、歩み寄るのか更にすれ違ってしまうのか怖かった。
歩きたくない。このままでいい。
それが勇気のない私の本心だ。
「じゃあ抱き抱えるから」
簡単に私を御姫様だっこすると、タクシーを止めた。
既に酔って気分も良くなかった私は、タクシーまで揺られる間に、意識もゆらゆら心地よいその温かさの中、手放した。