理想は、朝起きたら隣に。


ぎしりとベットが軋んで、床に尻もちを付いた私へ一歩近づいた。

金縛りにあったように私は彼を見上げることしかできない。

こんな状態で近づくのが怖くて目をぎゅっと閉じると同時に、彼が無造作に置いた小説がばさばさと床へ落ちる。


ベッドが再び軋んだが。彼はベッドの向こう側の小説を拾うために私から離れた。


「日本に帰って一番に会いたいと思っていた。途中で連絡先が変わって焦ったけど、なんとしても一番に会いたいと思っていた」

小説を持った彼が、本棚にその小説を片付ける。

「そんな風に思う相手を、酔っているから襲ったりしない」

「……嘘だ。そんなの」

「それはどっちが嘘だって言ってんの?」

彼が私の方を振り返らず、並べられた小説を見ていた。
彼が見ていた小説は、一緒に過ごした時期に読んでいたものたちばかり。
一番視界に入りやすい真ん中の本棚に並べている。



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