理想は、朝起きたら隣に。
「美春も行くよ」
「……ん。いいよー、私は」
引きずられながら一番後ろに立つ私に、大きなブーゲを持った優衣がブンブンと手を振った。
サーモンピンクのカラードレスに、胸元をバラで散りばめたこの挙式場で一番値が張るドレス。
可愛くて、ちょっと童顔な彼女が着ると、童話の中のお姫様みたいで可愛かった。
「美春には特別にミニブーケがあるからね」
「うわ。皆、見てるから、やめてーー」
そう言ったのにも関わらず、カメラマンが写真写真と囃したてるので、私は新郎新婦の真ん中で笑顔で写真を撮る始末。
「あのね美春。二次会には絶対に来てよ」
「え、あ、行くけど、終電で帰るって約束だからね」
「それでもいいから、絶対に来てね!」
強く念を押され、気迫に負けて頷くと、優衣は満足げに微笑んだ。
可愛くて小動物系だけど、優衣の方がしっかりしていて。
気位の高い猫っぽいとか言われる私の方が実は、だらしない奴だ。
見た目って本当に大事だし、損も多い。
けれど、今までこうしてきたから私にはもう、違う自分の見せ方が分からなかった。