理想は、朝起きたら隣に。
すぐさま、お風呂を洗って湯を溜めながら、クローゼットを開けて洋服を物色する。
夜までまだまだ時間があるのに、気持ちだけが急いていく。
仕事用ではなく個人用のネイルケアセットや道具を取り出して、どんなデザインにするか考えるのが止められない。
褒めてもらった指先だけは、――気持ちを正直に表したかったから。
認める。
最初から認めていたようなものだったけれど、認める。
私は、本屋でバイトしていた時から今までも、ずっと慶斗が好き。
会ってしまえばその思いは、現在進行中だと分かる。
高嶺の花だの、壁の花だの、理想が高そうだの、私のイメージは常に周りや優衣と比べられて勝手に決まっていたけれど本当は恋愛経験なんて慶斗が初めてだったくらいの奥手で、流されやすくて素直じゃない。
そんな私に声をかけてくれたのは慶斗だけだった。
そんな彼に私はずっとこのまま受け身でいては感謝が伝えられないと思った。