理想は、朝起きたら隣に。
三、過ぎた時間のジクソーパズル
二時間もかかってデザインやら塗りやらかかったネイルは、ピーチピンクのおフェロネイルの上に丁寧に手描きレースを描き、下品じゃない程度にランジェリーも載せて、ちょっとだけ大人っぽくしてみた。
大人になった私を見てもらいたいと思ったからだけど、どう考えても今朝の失態で台無しだった。
引っ越しの手伝いとか自分から言えば良かったけど、ネイルした手で言ったら逆にイメージが悪くなるかもしれない。
時間を潰そうとやってきたカフェの前で、ショーウインドウのメニューを物色していた。
そうだ。
優衣に聞きたいことがいっぱいあるんだったと、携帯で連絡先を開こうとした。
「あーーーっ 美春ちゃん見っけ」
大声で呼ばれて振りかえると、私を指差していたのは小麦色の爽やかイケメン、林田さんだった。
「昨日の、林田さん」
「変な覚え方されてる。何それ」
「いえいえ。昨日は一等とれたんですか?」
服が昨日のスーツのままなのを見ると、4次会まであったのかもしれない。
それなのにこのハイテンションは凄い。
「それがさー、取れなくて。三位のプラネタリウムは使った? あいつが勝手に持って帰ったろ」
「そうでしたね。持って帰ったんじゃないかな。うち――」