理想は、朝起きたら隣に。
気持ちはお互い一緒だと言われても、6年間の溝を埋めたくて。
バラバラになったジクソーパズルをはめていくみたいに、弱りきった自分の心は声やしぐさや笑顔で、実感するしかなかった。
「……俺はお前を疑わなかった。待っていてくれていると思っていた」
「……そうなんだ。あ、すいません、エメラルドマウンテンの豆乳ラテ」
「そうなんだって、お前」
「引っ越しの荷ほどきは終わったの?」
話を逸らすと、不満顔ではあるけれど渋々喋り出す。
「こっちで買い直す予定だし、向こうは家具付きのマンションだったから碌な荷物はない。手続きの方が時間食った」
「ふうん」
数分もしないで、エメラルドマウンテンの甘い豆の香りが漂ってくる。
甘みが強いこの珈琲が一番好きかもしれない。