理想は、朝起きたら隣に。
「昨日も思ったが、今日もネイルが綺麗だ」
素直な感想に思わず目をパチパチしてしまった。
彼がこんなに素直に言ってくれるのは初めてかもしれない。
だったら私も素直にならないと。
からからに喉の中が乾いていく中、指先を撫でながら言う。
「慶斗に会うと思ったら、気合い入っちゃった」
そう言っておきながらも、口から心臓が飛び出しそうなほど身体が熱い。
動揺し過ぎている。
「もう、どっか行かないの?」
珈琲が運ばれてきたので会釈したけれど、震えて上手に珈琲が持てない。
「いかない。こっちで新人に指導する立場になる。今度は俺が送り出す番だから」
「へえ」
「もうどこにも行かないし。離れるつもりもない」
射抜くように真っ直ぐ見つめられながらそう言われた。
「だから、今度こそ信じてずっと一緒に居て欲しい」
シンプルな言葉に、思わずスプーンで無駄に珈琲を掻きまわした。
カラカラと氷がぶつかる音を聞きながらなんとか必死で指先を見た。