理想は、朝起きたら隣に。
「再会できるなんて思ってもみなかったから、――昨日、慶斗の顔を見てからずっと。――ずっと心が燃えるように熱くて苦しかったんだから」
「……俺が入ってきた瞬間、嫌そうに壁の方を向いた癖に」
「な、なんで、そんな!」
ばっちり見られていたなんて不覚。
見た瞬間、素直じゃない私は、自分の気持ちにも精一杯抵抗していたもんね。
「しょうがねえよ。俺は待ってて欲しいって伝えたはずが美春じゃないやつが返事していたんだから」
「優衣……」
一体どんな内容の話だったのか分からないけれど、目の前の慶斗の照れくさそうな顔を見たらそれが答えだと分かった。
「ところで」
珈琲を飲み終わり、手持無沙汰から指先を絡ませて遊ばせながら外を見る。
「お腹空かないか? ちょっとだけ散歩がてら歩かないか?」
「はい!」
昨日までの燻っていた気持ちが嘘のように、慶斗さんと一緒に居られる幸せを噛みしめていた。