理想は、朝起きたら隣に。
それから、6年前に戻ったように公園を散歩する。握られた手の熱さに、なんだかとても幸せな気持ちに包まれた。
あまり口数は少ない方だったけれど、意地悪な部分はあるけど基本的には優しく甘やかしてくれる人。
優衣みたいに話の中心にいるような人は苦手だとか、容姿で注目されるのは好きではないとか私と同じ共通点もある。
「美春」
「うん」
「ずっと、今も、美春だけが好きだった」
誰もいない公園の道で、小さく『一秒でも早く会いたかった』と告げた。
抱き締められた慶斗の腕の中、ドクドクと高鳴る鼓動の音は私だけではない。
慶斗さんも同じぐらいドキドキしているのが分かった。
「私も――大好き」
背中に腕を回し、頬を擦り寄せる。