理想は、朝起きたら隣に。
「酔った」
レストランから出て第一声にそう彼が言う。
「そりゃああれだけ飲んだらね。顔には相変わらず出ないよね」
ワインとシャンパンを空けても、平然とした顔でスタスタ歩いている。
それなのに酔ったと彼は言う。
「美春は?」
手を繋ぎ、おでこをコツンと会わせながら彼が言う。
「――美春は?」
その言葉と、熱い吐息で察してしまった、
「酔ったかもしれない」
曖昧に言い放つと、彼が繋いだ手の力を少しだけ強めた。
「今度は、ちゃんと朝まで覚えとけよ」
「ぷぷ。善処します」
慶斗の腕に自分の腕を絡ませながら、嬉しくて笑ってしまった。