理想は、朝起きたら隣に。
「優衣が、避けられてるって落ち込んでいた私の変わりに、慶斗にメールの返事をしたことも分かったよ」
「そうなの。言いだそうとしても、美春が彼の名前さえ聞きたくないって拒絶してたし。私も言いだせなくなって。でもあれから合コン誘っても来なくなったからまだ引きずってるんだろうなって。だから比呂君に相談しようと連絡取ってたら、――こんな感じになってしまいましてごめんなさいで済まないけど」
必死で謝ろうとオロオロする優衣に、私は笑う。
「気にしないで。こうやって上手くいったんだから」
「美春……」
私のにやけっぷりに、友達たちからぐりぐりと肘が飛んでくる。
「もー! 二次会では全くそんな素振りも、目さえも合わせなかったくせに!」
「でも二人が並んで立ってたら御似合いでチキショーってなったよね」
「私は林田さんがいるから」
「はあ!? 私も林田さん!」
皆はお酒の量も合わさり、さらにヒートアップしていく。
優衣は反省を込めてなのか、ちびちびとウーロン茶を飲みながら皆にノロケ話を始めて出した。
「あ、やばい。待ち合わせだ。優衣、お土産ありがとう」
腕時計を見ると、待ち合わせまでもう30分切っていた。
「もう帰るの?」
えええ、と不満そうな優衣に、つい私も顔が綻んだ。
「慶斗とうちの親で食事なの」
きっと緊張して30分前には待ち合わせ場所で本でも読んで待っているはず。
ニヤケが止まらない私に、優衣も苦笑した。
「お幸せにね」
私は深く頷くと、ブーイングなのか称賛なのか分からない友達の声を掻きわけて店を出た。