理想は、朝起きたら隣に。

きっかけは優衣だけど、原因は私のこのはっきりしない性格のせいだった。

「あーね。あんた、まだその人を引きずってるんじゃない?」

「だからやる気ないんだよー。だめだめ。いつまでも壁の華でいいのー?」
「ようし、美春の為に突撃しちゃおうよ。ほら、あ、煙草組が店に入ってきたよ」

やる気を出した皆には悪いけれど、初対面の人を前に既に口から心臓が飛び出しそうで怖い。無理だ。

皆が上着を脱ぎ、露出出して本気モードで攻めようとしている中、私も黒のストールを握り締める。どうしたものか。

「あの」

「お、来た。すげー、朝霧が帰国してる」

男性四人に話かけようとした時、また入り口から一人、誰かが入ってきた。
彼らは私らに目もくれないで、その男の人を囲んだ。

「お前、ニューヨーク帰りだって?」
「帰国して一番に会うのがお前らかよ」

げんなり顔でネクタイを緩めながら、その中心人物は髪を掻きあげた。

――えっ。

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