部長の溺愛に困惑しています。
私は持っているグラスを握りしめた。




「私…ちゃんとした正社員になりたいです」



思わず言ってしまった。

自分の願望を口にするのってこんなに恥ずかしくて…こんなにすっきりするものなんだ。






「そうか」


部長はどこか嬉しそうにクスッと笑う。

その笑みの意味はわからないが嫌な気はしなかった。






「その夢は叶えられるぞ。努力は必要だけどな」

「…」


部長のその言葉を聞いて幼い頃のことを何故だかまた思い出す。


お母さんの化粧品をいたずらしながら、いつか化粧品関係の仕事につきたいと思ったあの日…

その夢が今目の前にあるんだ…
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