部長の溺愛に困惑しています。
「最高だね、彩蓮ちゃん。女に殴られたのは初めてだよ」
「…男を殴ったのも初めてです。あんまりムカついたから上司であることも忘れてました」
それもあるけど、園子の代わりに殴ってやったのよ。
「仕事に戻ります」
ここにいても仕方ないと思い、私は岡田さんに背を向けて資料室のドアのドアノブに手をかけた。
カチャ
カチャ…
「あれ?」
資料室のドアが開かない。鍵は空いているのにドアが開かない。
念のため鍵を回してみるが、やっぱりドアは開かなかった。
「…ここ。ドアの調子が悪くて時々開かなくなるんだよ。直す直すって言って後回しなんだよなぁ」
クスクスと笑い、嬉しそうにこっちに近づいてくる岡田さん。
「嘘でしょ…」