部長の溺愛に困惑しています。
私をなだめる為なのかわからないが、今のその部長の言葉にクスクス笑ってしまった私は、涙を拭いて顔を上げた。




「行くか」

「はい」


そして私の手を握りしめる部長はベンチから立ち上がり、その場からゆっくりと歩き出した。

日が落ちてまばらに行き交う人を横切りながら、私は涙をすすり隣にいる部長を見つめる。




改めて部長が好きだと思う…

こんな気持ちになったのは久しぶり…



この気持ちを伝えたいよ。







「部長…」


意を決して彼に話しかけると、部長は前を向いたまま「んー?」と返事をする。

不思議と恥ずかしさはそこまでなかったが、顔は鏡で見るまでもなく赤かったと思う。
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