部長の溺愛に困惑しています。
そして「ふん!」と首を背けると、オフィスの中に戻って行ってしまう。

そんな彼女にキョトンとする私の隣にいる部長は、クスクスと笑った。






「あ、お疲れ様です」


訳の分からない状態の私に声をかけて来たのは営業から帰って来た園子で、部長に丁寧に挨拶する。

私も笑顔で園子に話しかけようと思ったが、その表情はすぐにしかめっ面に変わる。

園子の隣にはあの岡田さんがいたからだ。



こいつと外回りして来たなんて…園子に何か変なことしてないでしょうね?


岡田さんを怪しい目つきで見つめていると、園子は部長に軽く会釈をしてその場からから去ろうとする。

私と部長の関係を園子はもちろん知っていて、こんなふうに私たちが2人でいても普通に振舞ってくれているのだ。




「あ、園子」


すると、岡田さんは園子の腕を引いて引き止めて何やら耳打ちし始めた。

何を言ったのかまでは聞こえなかったが、園子は少し顔を赤くしてクスッと笑うとオフィスの中に入って行く。





「ちょ、ちょっと!今何て言ったんですか!?園子に変なことしないで下さい!」
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