部長の溺愛に困惑しています。
手に持っているアイシャドウにもう一度目を向けてみると、ひとつは細い花びらを何枚も重ねたような形。




「これは蓮。お前の名前に入ってるだろ」

「あ…」


確かに私の名前は彩蓮だ。

これ蓮の花なんだ…




「もう一つ見てみて」

「…これは…………桜」


もう一つは桜の形をしたコンパクト。

中を開けると綺麗な色のアイシャドウがたくさん。




「お前はサクラだからな。蓮だけじゃ物足りないと思って」

「すごく…素敵です」


嬉しすぎてうまく言葉が出てこないよ…

ちょっと手が震える…



「少し早いけど入社祝いだ」

「…ありがとうございます」


視界が涙で潤んだ。



「それと…これも」

「っ!」


そっと私の左手に触れると、部長は薬指にシルバーの指輪をはめる。中央にはダイヤモンドがついている。




「こ、これ…」

「これも裸でごめんな。俺は包装をしない男なんだよ」


そう言って笑うと、彼は私をそっと抱きしめた。

私は半ば放心状態で目からポロポロと涙が溢れてくる。
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