(仮)二人の世界
「京都~京都~」のアナウンスで、二人は、新幹線を降りた。
ホームに立つと深呼吸をした。観光客の団体やたくさんの人が行き交うホームでも、京都の匂いがする。神社仏閣の香りというか、ほのかにお香やまた、自然の山々から吹く10月の風が京都特有のひんやり感が漂う。
「香夏子、大丈夫かい」とTAKUMAの声に、ハッとしてTAKUMAを見て「大丈夫」と笑顔で答えた。
二人は、改札を出て、タクシー乗り場へ行き、並んでいるタクシーから運転手が出てきて「お荷物、預かります」と二人に伝え、トランクに詰め込むと、後部座席のドアを開き「どうぞ」と招くとドアを閉めて、運転席に座る。「ようこそ、京都へ、どちらに行かれますか」との声に、TAKUMAは「左京区、イヤ、銀閣寺あたりまでお願します」と答えた。そして隣に座る香夏子の手をギュっと握ると、二人は見つめあい、互いにニコリとした。
二人が泊まろうとしているところは、銀閣寺と南禅寺の中間くらい否…銀閣寺寄りになるだろうか、少し小高い丘辺りに昔の洋館のような建物が、雑草などが生い茂ってる中に佇んでいるのが古いアパートである。地元の者でもなかなかわかりづらい洋館だが、香夏子はその一室から見る川の流れる音や桜が見れるのが好きであった。逢瀬を重ねる中で、TAKUMAも気にいったのだろう。また、その洋館に住まう人々が、個性の強い人たちだったことや、木造の香りや軋む音も味わいがあってよかったのかもしれない。TAKUMAが鼻歌を歌っている姿が浮かび、微笑む香夏子・・・そんな香夏子に「何?どうかした」と尋ねるが「いいえ」と言ってTAKUMAの肩に寄り添う。
時期的には観光客は少ないと思っていたが、今のご時世、国内の観光客だけじゃないので、北へ北へ上がっても、ちらほらと観光客が行き交う。見覚えのある建物やお店やさんに道路がだんだん香夏子の目に飛び込んでくる。
TAKUMAは丁寧に運転手に、洋館へゆく道の説明をする。その通りに運転手が走ってゆく。
だんだん坂を上って、観光客の賑わいが消えて、木々たちの声が風に乗って聞こえてくるように少しずつ香夏子の気持ちは高ぶり出すと、ほんのりと白さが残る洋館が見えて玄関前に来た!…すると、TAKUMAが「君はここにいなさい!荷物をおいてくるから」…香夏子は「何を?私が行ったほうがいいわよ、貴方は・・」というとウインクをして、香夏子にキスをして「待っててね」と、タクシーの運転手さんと一緒に、うす暗く長く伸びる廊下を荷物を持ち二人は、奥に消えていった。
香夏子は、ちょっぴり寂しくなりタクシーから降りて、TAKUMAの元に行こうかと悩んでいたら、ザクザクと外から音がしたので窓を見ると、黒髪を無造作に束ねて、白いシャツとデニムパンツを着て、大きな紙袋を抱えながら頭を掻いて、下駄をはいてる男性が通りすぎた。(あっ!この人師匠じゃないの!…<物知りで、6年浪人!?の人>まだ、ここに住んでいるんだ~って、この人いくつだっけ!?)と考えていたら、玄関で、その男性とTAKUMAが出会い、握手をして、にこやかに話しをしてる。運転手が戻り、少しして、TAKUMAが戻った。
「では、南禅寺まで向かいます」と運転手が、こちらを見て囁いた。「お願いします」と香夏子は伝えた。
TAKUMAは「ふぅ~」と言って香夏子の手をぎゅっと握ると香夏子の小さな肩に寄りかかると、コロリンとウト寝してしまった。「あ~ん、もう、風邪ひいちゃうよ~」香夏子が言うと、「少し暖めましょうか?」と運転手。「あっ、すみませんお願いします」というと「かしこまりました」と微笑み、タクシーの中を少し暖かくしてくれた。動き出してすぐは香夏子自身、TAKUMAの事を気にしながら、タクシーから見る景色を楽しんでいたが、いつの間にか、ふたりしてウトウトと寝入ってしまっていた。「お客様、南禅寺に着きました」という声と、タクシーの振動で、二人は目が覚めて、「あっ!」と互いに声をだした。二人は見つめあい、思わず、吹き出した。「い、いくらですか?」とTAKUMA、「〇〇〇〇円です」と運転手…「お熱くなかったですか?」と香夏子を見て言う運転手「あっ!大丈夫です、ありがとうございました」と伝えた。「こちらこそ、ありがとうございました。良い旅を」と笑顔で運転手は言った。二人は、タクシーを降りた。
ひゅ~と、ひんやりとした風が吹き、香夏子の髪が顔にかかるとTAKUMAがその髪を右手で整えて、左手を肩に乗せて、「う~ん」と香夏子の顔じっ~と見つめて、「大丈夫!」と一言。(ん!?)香夏子は思わず「子供ですか?」と言うと「うん、子供だね~」と言ってニヤリといたずらな顔になって言うので、(むかつく~!!)「ワン!」と言って、身体を反転して、南禅寺にトコトコ行きかけると「え、怒ったの」って、いいながら、香夏子の右腕をクイっと、TAKUMAは自分の胸に引き寄せて香夏子の耳元で、「一緒に行くよ」と呟く。香夏子の頬と耳はだんだん赤くなって頭をコクンと縦に振るだけだった。そんな香夏子の事を知りながら、そっと香夏子の手を握り自身のポケットの中に入れるTAKUMAは、歩きだした。
・・・本当に全国的にもこの時期は四季上は寒いのだが、最近の温暖化のせいか!?夏みたく熱くはないが、秋ってほどまでじゃない気候なので、洋服に戸惑う事しばしである。紅葉の時期だといえばそうだろうが・・!?真っ赤に色づく京都ってのでもない・・・なので、観光客もいまいち盛り上がりに欠けるのでは、と思うが、やっぱり、それだけじゃない神社仏閣の凄さが、特に外人の観光客には、楽しい時間なのかもしれない。かくいう私
香夏子も結構楽しんでいる・・・・。
時代背景や建物の知識や歴史などは、正直まったく京都育ちなのにわかっていない。ただ、心が穏やかになるのは不思議な事だ。TAKUMAもそうなのだろう。独り言のように、ぶつぶつと呟き、ICレコーダーに吹き込んでいる。時より、香夏子を見ては微笑んでいる。香夏子は、キョロキョロとしたり、突然じぃ~と立ち止まったりと、二人手をしっかりとつないでる割には、各々で楽しんでいる。
TAKUMAの横を歩いては、時よりTAKUMAの顔見つめるが、(本当に、東京でもだが、京都でも、彼の事がばれないのが不思議だ~・・・この人って、確か!?有名だよね~!?)
TAKUMAは一応、変装っぽい事はしてるが…。(まぁ、本人が気にしてないし、まわりも知ってるかもしれないが!?見ないフリをしてるかもしれない)・・・とTAKUMAを見とれていると、香夏子の顔見て、微笑んで頭を撫で撫でする。(ワン)(私って、犬かい!とツッコミたくなるが、しょうがないと私もニコリとすると)「違うよ、香夏子」って、私の耳元でささやき、耳を少しカプッと噛む彼。(ビクッ!!)とする私は小声で、「ワン」と言うと香夏子の耳に、息を吹きかけて、ペロッと舐める。(い、イヤン)ドキドキしだす香夏子の身体。握っているTAKUMAの手を強く握ると、TAKUMAはクスッと唇と瞳の奥だけで笑みを浮かばせる。
三門の辺りは、観光客がたくさん写真を撮っている中を二人はゆらりゆらりと歩く。まるで、三門の奥からの風に誘われるように。周りは、グラデーションがかった紅葉が素敵で、皆が写真を撮りたがる気持ちがわかる。
そんな香夏子の気持ちを答えるように、TAKUMAが、急に香夏子から離れて、「撮ってあげるよ!・・・こっちへおいで!」「このあたりかな~、ストップそのままで」と三門がくっきり収まり、かすかな紅葉をバックに香夏子を撮ってくれているTAKUMA。(カメラ越しから、彼に見られるなんて・・いままで合ったかなぁ。やっぱりどきどきしちゃう)と思う香夏子の身体が火照りだすのだ。
ホームに立つと深呼吸をした。観光客の団体やたくさんの人が行き交うホームでも、京都の匂いがする。神社仏閣の香りというか、ほのかにお香やまた、自然の山々から吹く10月の風が京都特有のひんやり感が漂う。
「香夏子、大丈夫かい」とTAKUMAの声に、ハッとしてTAKUMAを見て「大丈夫」と笑顔で答えた。
二人は、改札を出て、タクシー乗り場へ行き、並んでいるタクシーから運転手が出てきて「お荷物、預かります」と二人に伝え、トランクに詰め込むと、後部座席のドアを開き「どうぞ」と招くとドアを閉めて、運転席に座る。「ようこそ、京都へ、どちらに行かれますか」との声に、TAKUMAは「左京区、イヤ、銀閣寺あたりまでお願します」と答えた。そして隣に座る香夏子の手をギュっと握ると、二人は見つめあい、互いにニコリとした。
二人が泊まろうとしているところは、銀閣寺と南禅寺の中間くらい否…銀閣寺寄りになるだろうか、少し小高い丘辺りに昔の洋館のような建物が、雑草などが生い茂ってる中に佇んでいるのが古いアパートである。地元の者でもなかなかわかりづらい洋館だが、香夏子はその一室から見る川の流れる音や桜が見れるのが好きであった。逢瀬を重ねる中で、TAKUMAも気にいったのだろう。また、その洋館に住まう人々が、個性の強い人たちだったことや、木造の香りや軋む音も味わいがあってよかったのかもしれない。TAKUMAが鼻歌を歌っている姿が浮かび、微笑む香夏子・・・そんな香夏子に「何?どうかした」と尋ねるが「いいえ」と言ってTAKUMAの肩に寄り添う。
時期的には観光客は少ないと思っていたが、今のご時世、国内の観光客だけじゃないので、北へ北へ上がっても、ちらほらと観光客が行き交う。見覚えのある建物やお店やさんに道路がだんだん香夏子の目に飛び込んでくる。
TAKUMAは丁寧に運転手に、洋館へゆく道の説明をする。その通りに運転手が走ってゆく。
だんだん坂を上って、観光客の賑わいが消えて、木々たちの声が風に乗って聞こえてくるように少しずつ香夏子の気持ちは高ぶり出すと、ほんのりと白さが残る洋館が見えて玄関前に来た!…すると、TAKUMAが「君はここにいなさい!荷物をおいてくるから」…香夏子は「何を?私が行ったほうがいいわよ、貴方は・・」というとウインクをして、香夏子にキスをして「待っててね」と、タクシーの運転手さんと一緒に、うす暗く長く伸びる廊下を荷物を持ち二人は、奥に消えていった。
香夏子は、ちょっぴり寂しくなりタクシーから降りて、TAKUMAの元に行こうかと悩んでいたら、ザクザクと外から音がしたので窓を見ると、黒髪を無造作に束ねて、白いシャツとデニムパンツを着て、大きな紙袋を抱えながら頭を掻いて、下駄をはいてる男性が通りすぎた。(あっ!この人師匠じゃないの!…<物知りで、6年浪人!?の人>まだ、ここに住んでいるんだ~って、この人いくつだっけ!?)と考えていたら、玄関で、その男性とTAKUMAが出会い、握手をして、にこやかに話しをしてる。運転手が戻り、少しして、TAKUMAが戻った。
「では、南禅寺まで向かいます」と運転手が、こちらを見て囁いた。「お願いします」と香夏子は伝えた。
TAKUMAは「ふぅ~」と言って香夏子の手をぎゅっと握ると香夏子の小さな肩に寄りかかると、コロリンとウト寝してしまった。「あ~ん、もう、風邪ひいちゃうよ~」香夏子が言うと、「少し暖めましょうか?」と運転手。「あっ、すみませんお願いします」というと「かしこまりました」と微笑み、タクシーの中を少し暖かくしてくれた。動き出してすぐは香夏子自身、TAKUMAの事を気にしながら、タクシーから見る景色を楽しんでいたが、いつの間にか、ふたりしてウトウトと寝入ってしまっていた。「お客様、南禅寺に着きました」という声と、タクシーの振動で、二人は目が覚めて、「あっ!」と互いに声をだした。二人は見つめあい、思わず、吹き出した。「い、いくらですか?」とTAKUMA、「〇〇〇〇円です」と運転手…「お熱くなかったですか?」と香夏子を見て言う運転手「あっ!大丈夫です、ありがとうございました」と伝えた。「こちらこそ、ありがとうございました。良い旅を」と笑顔で運転手は言った。二人は、タクシーを降りた。
ひゅ~と、ひんやりとした風が吹き、香夏子の髪が顔にかかるとTAKUMAがその髪を右手で整えて、左手を肩に乗せて、「う~ん」と香夏子の顔じっ~と見つめて、「大丈夫!」と一言。(ん!?)香夏子は思わず「子供ですか?」と言うと「うん、子供だね~」と言ってニヤリといたずらな顔になって言うので、(むかつく~!!)「ワン!」と言って、身体を反転して、南禅寺にトコトコ行きかけると「え、怒ったの」って、いいながら、香夏子の右腕をクイっと、TAKUMAは自分の胸に引き寄せて香夏子の耳元で、「一緒に行くよ」と呟く。香夏子の頬と耳はだんだん赤くなって頭をコクンと縦に振るだけだった。そんな香夏子の事を知りながら、そっと香夏子の手を握り自身のポケットの中に入れるTAKUMAは、歩きだした。
・・・本当に全国的にもこの時期は四季上は寒いのだが、最近の温暖化のせいか!?夏みたく熱くはないが、秋ってほどまでじゃない気候なので、洋服に戸惑う事しばしである。紅葉の時期だといえばそうだろうが・・!?真っ赤に色づく京都ってのでもない・・・なので、観光客もいまいち盛り上がりに欠けるのでは、と思うが、やっぱり、それだけじゃない神社仏閣の凄さが、特に外人の観光客には、楽しい時間なのかもしれない。かくいう私
香夏子も結構楽しんでいる・・・・。
時代背景や建物の知識や歴史などは、正直まったく京都育ちなのにわかっていない。ただ、心が穏やかになるのは不思議な事だ。TAKUMAもそうなのだろう。独り言のように、ぶつぶつと呟き、ICレコーダーに吹き込んでいる。時より、香夏子を見ては微笑んでいる。香夏子は、キョロキョロとしたり、突然じぃ~と立ち止まったりと、二人手をしっかりとつないでる割には、各々で楽しんでいる。
TAKUMAの横を歩いては、時よりTAKUMAの顔見つめるが、(本当に、東京でもだが、京都でも、彼の事がばれないのが不思議だ~・・・この人って、確か!?有名だよね~!?)
TAKUMAは一応、変装っぽい事はしてるが…。(まぁ、本人が気にしてないし、まわりも知ってるかもしれないが!?見ないフリをしてるかもしれない)・・・とTAKUMAを見とれていると、香夏子の顔見て、微笑んで頭を撫で撫でする。(ワン)(私って、犬かい!とツッコミたくなるが、しょうがないと私もニコリとすると)「違うよ、香夏子」って、私の耳元でささやき、耳を少しカプッと噛む彼。(ビクッ!!)とする私は小声で、「ワン」と言うと香夏子の耳に、息を吹きかけて、ペロッと舐める。(い、イヤン)ドキドキしだす香夏子の身体。握っているTAKUMAの手を強く握ると、TAKUMAはクスッと唇と瞳の奥だけで笑みを浮かばせる。
三門の辺りは、観光客がたくさん写真を撮っている中を二人はゆらりゆらりと歩く。まるで、三門の奥からの風に誘われるように。周りは、グラデーションがかった紅葉が素敵で、皆が写真を撮りたがる気持ちがわかる。
そんな香夏子の気持ちを答えるように、TAKUMAが、急に香夏子から離れて、「撮ってあげるよ!・・・こっちへおいで!」「このあたりかな~、ストップそのままで」と三門がくっきり収まり、かすかな紅葉をバックに香夏子を撮ってくれているTAKUMA。(カメラ越しから、彼に見られるなんて・・いままで合ったかなぁ。やっぱりどきどきしちゃう)と思う香夏子の身体が火照りだすのだ。