⑦オオカミさんと。溺れる愛の行く先に【番外編も完結】
が。

それから2、3日が経った朝、突然に兆候は現れた。

「じゃあ、行ってくるよ♥」

いつものように俺は、逃げ出しそうとたフユキを素早く捉え、見送りに出た燈子を引き寄せようとした。

「……ん?」

と、スッと片手が空を掴む。

見れば燈子の位置が、1・5メートルほど奥にずれている。

「い、行ってらっしゃい」

引きつり笑いを浮かべる燈子に、俺はもう一歩踏み込んだのだが……

スカッ。

またしても腕は空を切る。

「燈子?」

おかしい。
燈子との距離が、半径1・5メートルから全く縮まらない。

その隙に、フユキが懐からすり抜けて逃げてゆく……


「……行ってきます」


どこか釈然としないまま、俺は青い顔で冷や汗を浮かべる燈子にションボリと背を向けた。




更に2日が経った夜。


「……え?フユキと……寝る?」

「は、ハイ。
ホラ、フユちゃん近頃、ずっとカノンちゃんと寝てたデショ?
寂しくなっちゃったみたいで…」

「かーさん、ボクはへーき…ムガッ」
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