⑦オオカミさんと。溺れる愛の行く先に【番外編も完結】
「幸せなエピローグ」
後日、
産婦人科で “確定” をもらった燈子は、満面の笑みでのたまった。
「イヤー、前回はつわりって殆んど無かったんで~」
「……あっそ」
対する俺の胸中はフクザツなものがある。
思い当たるフシは充分あったのに、何で気が付かなかったんだ。
俺としたことが、ついマジ泣きしてしまったじゃねえか!
己のアホさ加減を責めているのだ。
葛藤中の俺をよそに、燈子はシタリ顔で続けた。
「好きだったニオイや食べ物が突然ダメになったりするみたいですね。
私の場合、アキトさんのコロンと整髪料がダメで…オゥェッ、
思い出したらまた……」
でも、まあ。
未だに続いている彼女の拒絶反応に地味に傷つきながらも、
ホントのところ今の俺は、とても幸福な気分に満ちている。
フユキ…
幼稚園でハサミの使い方を習ったらしく、しきりに広告を切り刻んでいるムスコの姿を見つめた。
今回は小さな君の不思議な力に、助けられてばかりだった。
俺は燈子のことばかりを考えていて……
いや違う。
単に俺は、自分がこれ以上傷つきたくなくて、逃げ出そうとしていただけだ。
コイツの気持ちなんて、考えようともしなかった。
殆んど朝しか顔を合わせることがない父親を、コイツはちゃんと見ていてくれたっていうのにさ……
なんてバカ親。
もしかすると君は、間違えてばかりの両親(オレタチ)に、天のカミサマが遣わしてくれた天使なのかもしれないな___
フッ、決まったぜ。
「あ~、フユちゃんってば。
とうさんの書類は切っちゃダメですよ~」
「な、何っ!」
産婦人科で “確定” をもらった燈子は、満面の笑みでのたまった。
「イヤー、前回はつわりって殆んど無かったんで~」
「……あっそ」
対する俺の胸中はフクザツなものがある。
思い当たるフシは充分あったのに、何で気が付かなかったんだ。
俺としたことが、ついマジ泣きしてしまったじゃねえか!
己のアホさ加減を責めているのだ。
葛藤中の俺をよそに、燈子はシタリ顔で続けた。
「好きだったニオイや食べ物が突然ダメになったりするみたいですね。
私の場合、アキトさんのコロンと整髪料がダメで…オゥェッ、
思い出したらまた……」
でも、まあ。
未だに続いている彼女の拒絶反応に地味に傷つきながらも、
ホントのところ今の俺は、とても幸福な気分に満ちている。
フユキ…
幼稚園でハサミの使い方を習ったらしく、しきりに広告を切り刻んでいるムスコの姿を見つめた。
今回は小さな君の不思議な力に、助けられてばかりだった。
俺は燈子のことばかりを考えていて……
いや違う。
単に俺は、自分がこれ以上傷つきたくなくて、逃げ出そうとしていただけだ。
コイツの気持ちなんて、考えようともしなかった。
殆んど朝しか顔を合わせることがない父親を、コイツはちゃんと見ていてくれたっていうのにさ……
なんてバカ親。
もしかすると君は、間違えてばかりの両親(オレタチ)に、天のカミサマが遣わしてくれた天使なのかもしれないな___
フッ、決まったぜ。
「あ~、フユちゃんってば。
とうさんの書類は切っちゃダメですよ~」
「な、何っ!」