⑦オオカミさんと。溺れる愛の行く先に【番外編も完結】
……あ~、ムカつく

さっきのヤマモトにしろ。
近頃、相手にする男のランクが目に見えて下がってきている…

48の課長補佐クラスなど、3年前なら歯牙にも掛けなかった相手だ。

私は、ヤマモトのプレゼントのシャネルを振り回しながら、来たエレベーターに飛び乗った。

私の名は板倉愛美、28歳。
この春から、(株)三鷹ホールディングス本社の庶務課第3係に所属している。

自分で言うのもナンだが、世に言う肉食系美女の女王サマ、狙った男は必ず落とし、足下にひれ伏させてきた。

社内の主だった男の1/3は、私の洗礼を受けていると言って、過言ではない。

ケチがついたのは、3年前だ。

当時の人事部長を、家庭崩壊寸前まで追いやったのがいけなかった。

“あの女を本社に置くな、若い社員を、バックグラウンドから駄目にする”

厳命が下され、数人のジジイしかいない出張所のどさ回りを余儀なくされた。
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