⑦オオカミさんと。溺れる愛の行く先に【番外編も完結】
さて、日当たりの良いベンチに座り、手弁当を広げた大神夫妻。
そのすぐ後ろの植え込みに、潜む女の影があった。
こんなの…
こんなのは『大神秋人』じゃない!
サングラスに金髪カツラ、バイキ○マン並みの変装をした怪しげな女の名は板倉愛美。
いま、彼女はハンカチーフを噛み締めながら、二人の様子を凝視していた。
何なのよぉ~。
このおぞましい、数十年前のアメリカンホームドラマ的な構図は!
私が2ヶ月間、何をしていたか分かる?
そう、野に伏せ地を這い、貴方を徹底リサーチしていたの。
そして、遂に貴方の全てを把握したわ。
趣味嗜好、こだわり、性格、性癖、過去等々を…
基本タイプは自信過剰なプレイボーイ、だけど抜け目ない狡さがある。油断すればこちらがヤられる。
いい?貴方は妊娠したヨメなんかを、誇らしげに連れて歩くヒトじゃない。
この2ヶ月間、見た限りでは女っ気なし、これも不自然。
確信したわ、貴方は私と似たタイプ。
私がホンキでターゲットを落とす時、私は自己に暗示をかけて、一時的恋愛状況に落とし込む。
だから今の私は……貴方が好き。ポッ。