⑦オオカミさんと。溺れる愛の行く先に【番外編も完結】
《視点 大神秋人》

さて、先程、板倉愛美と別れた後の大神夫妻は、ゆるりと散歩を続けている……

「…だからネ『ヒッヒッフウ』はこうやるの」
「ヘー…」

燈子の『陣痛がイタくなくなる呼吸法』
についての講釈を適当に聞き流し、俺は自らの思いを巡らせていた。

さっきバッタリ出くわした“例の女”、今日出会ったのは、既に4回目だ。

一体何を企んでいるのか。

こないだの蛍光灯の件以来、俺のまわりをやたらとチョロついている。
 
社のデータベース検索によれば、
庶務3課主任、板倉愛美、28歳。どうやら燈子とは同期入社のようだ。
 
いい女、ではある。
目測だが、82-58-84のサイズはかなり理想的、バストは少々補強とみたが。

あの時___

俺に倒れ込んで来たときは、
“え、イタダいちゃっていいの?”
と危うく尻尾を振ってしまいそうだった。

チャイムが鳴ってホントに良かった。

しかし…

その後の待ち伏せに尾行、過激なファッションにボディタッチ。
分かりやすすぎるアプローチは、間違いなく求愛のサイン。
 
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