⑦オオカミさんと。溺れる愛の行く先に【番外編も完結】
翌日___
夜のオフィス。

歳末の整理も概ね片がつき、夜の10時は、もう8楷の連中は大方帰宅してしまっている。
少し遅くなった。
そろそろ仕事を切り上げようと、デスク周りの整理を始めた時だった。

トン…トン。

小さなノック音。
扉を開くと、小さく縮こまってモジモジと、板倉愛美が立っていた。

「…大神常務…」
「ああ、…君か」

空調の切れた社内で、ずっと待っていたのだろうか。
只でさえ季節感を無視した薄着、身体が小さく震えている。

「お話が…あるんです」
「丁度いい、俺も……君と話をしたかった。
そこは寒い、入りなさい」

俺は彼女を執務室へと誘(いざな)った。

昨日の昼、燈子と別れた後からずっと、この女のコトを考えていた。

そして俺は、開眼したのだ。
……長い節制性活のため、より刺激に過敏になっているトコロへの連日の直接攻撃、
 “もうアカン”
理性のタガが外れる危機に晒され、俺ははたと気がついた。


そうだ!
俺は彼女を…心から愛してやればいい。
ならばそれは“浮気”ではないと___

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