⑦オオカミさんと。溺れる愛の行く先に【番外編も完結】
しかし……
「…⁉」
「君はいいコだ。
俺の仕事が終わるまではと、その薄着で…寒いのに我慢して……待っていてくれたんだろう?」
俺は、彼女の肩にさっきの自分の上着をそっと掛け、再び身体を離した。
「肩が冷えてる。
寒かったろう、それを着て帰るといい」
ポカンと見上げた彼女に、優しく微笑んで見せる。
「…君のその気遣いや美しさを保つ努力は、既婚のヤマモト補佐役や、人事部長や俺でない、君にとっての本物の誰かにしてやるべきだ」
俺は彼女に背を向けた。
クロゼットから、コートと鞄を取り出し始める。
フッ…キマッたぜ。
そうさ、女だと思うから駄目なんだ。
社員として、ヒトとしての板倉愛美を見て、愛してやればいい。
燈子、俺は自分自身に打ち勝ったゾー‼
自己満足に浸っていた時だった。
「…バっカに…すんじゃ………
ないわよ‼」
「…いぃっ…⁉」
女の低い声と共に、全身に激痛が走った。
彼女の放った上段回し蹴りが見事に俺の延髄にヒットしたのだ。
「そんな清廉潔白ぶったって、ムダだからね!気障バカ男。
あんたが今更、ミシン針になんか、なれる訳無いじゃない‼」
「ミ……?」
屈辱の涙を隠そうともせず、彼女は
乱暴に扉を開け放すと、
痛みに座り込んだ俺を更に蹴りつけて、駆け出して行ってしまった。
……痛い。
「…⁉」
「君はいいコだ。
俺の仕事が終わるまではと、その薄着で…寒いのに我慢して……待っていてくれたんだろう?」
俺は、彼女の肩にさっきの自分の上着をそっと掛け、再び身体を離した。
「肩が冷えてる。
寒かったろう、それを着て帰るといい」
ポカンと見上げた彼女に、優しく微笑んで見せる。
「…君のその気遣いや美しさを保つ努力は、既婚のヤマモト補佐役や、人事部長や俺でない、君にとっての本物の誰かにしてやるべきだ」
俺は彼女に背を向けた。
クロゼットから、コートと鞄を取り出し始める。
フッ…キマッたぜ。
そうさ、女だと思うから駄目なんだ。
社員として、ヒトとしての板倉愛美を見て、愛してやればいい。
燈子、俺は自分自身に打ち勝ったゾー‼
自己満足に浸っていた時だった。
「…バっカに…すんじゃ………
ないわよ‼」
「…いぃっ…⁉」
女の低い声と共に、全身に激痛が走った。
彼女の放った上段回し蹴りが見事に俺の延髄にヒットしたのだ。
「そんな清廉潔白ぶったって、ムダだからね!気障バカ男。
あんたが今更、ミシン針になんか、なれる訳無いじゃない‼」
「ミ……?」
屈辱の涙を隠そうともせず、彼女は
乱暴に扉を開け放すと、
痛みに座り込んだ俺を更に蹴りつけて、駆け出して行ってしまった。
……痛い。