⑦オオカミさんと。溺れる愛の行く先に【番外編も完結】
フッと格好をつけながら、ちらりと熊野を窺うと、奴は大きく目を見開いた。

「大神が…マトモなことを言っている
…キモチ悪い」

どういう意味だ。

「…まあ…ありがとな。実のところ、ちょっと自信がなかったんだ。

あ…でもな、それだけじゃないんだ。ほら、よく聞くじゃないか。結婚したら彼女が変わったって話」

熊野はブルッと身体を震わせ、俺の方に身を寄せた。

「ほら、2年前結婚したオザキさ。一昨日会うことがあったんだが…
こないだ飲んでちょっと遅く帰ったら、閉め出されて車の中で震えながら寝たってよ。
あの清楚な彼女が…そんな風になったらと思うと俺は…」

熊野の赤かった顔色が青く変わった。

「……熊野よぉ」

俺はチッと舌打ちすると、首を横に振りながら奴の肩を抱え込む。


「結婚したらな……スッゲエぞ」
「な、何がだよ」

「まあ飲め」

………

酒の回った男同士。
会話には理性の欠片さえ残っていない。
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