⑦オオカミさんと。溺れる愛の行く先に【番外編も完結】
✴
ヤツ(いや、たぶん奥さんだな)が部屋をとってくれていたので、俺達はホテルに1泊して帰ることにした。
今、穏やかな初夏の夕暮れの中、ホテルの庭園をノンビリ散歩している。
さっきまでむずがっていたボウズは、燈子の胸の中でやっと眠ったようだ。
俺がスリングごとボウズを受けとると、燈子はフウッと一息をつき、トントンと右肩を叩いている。
片腕に横抱きしたボウズは、ふてぶてしい顔つきで眠っている。
燈子をはじめ女どもは『笑った』とか『可愛い』とか騒いでいるが……
コイツ、俺には1度もそんな顔を見せたことがない。
小さな赤い唇に“チュッ”と軽く口付けると、ものすごく嫌そうに顔をしかめた。
フン、ざまあみろ。
テメエの初チュー、俺が奪ってやったぜ。
愛情表現だと勘違いしたのか、見ていた燈子が嬉しげに笑う。
「エヘヘ…何だか秋人サンは…変わりましたね」
「何が?」
「そういうの、“格好悪い”って、絶対やらないヒトかと思ってましたから。
…結構サマになってますよ?」
「な……」
何だか照れ臭い。
からかうように見上げた顔に、平静を装い言い返す。
「当たり前。デキる男は何をやってもキマるんだ」
「……ハイハイ」
ヤツ(いや、たぶん奥さんだな)が部屋をとってくれていたので、俺達はホテルに1泊して帰ることにした。
今、穏やかな初夏の夕暮れの中、ホテルの庭園をノンビリ散歩している。
さっきまでむずがっていたボウズは、燈子の胸の中でやっと眠ったようだ。
俺がスリングごとボウズを受けとると、燈子はフウッと一息をつき、トントンと右肩を叩いている。
片腕に横抱きしたボウズは、ふてぶてしい顔つきで眠っている。
燈子をはじめ女どもは『笑った』とか『可愛い』とか騒いでいるが……
コイツ、俺には1度もそんな顔を見せたことがない。
小さな赤い唇に“チュッ”と軽く口付けると、ものすごく嫌そうに顔をしかめた。
フン、ざまあみろ。
テメエの初チュー、俺が奪ってやったぜ。
愛情表現だと勘違いしたのか、見ていた燈子が嬉しげに笑う。
「エヘヘ…何だか秋人サンは…変わりましたね」
「何が?」
「そういうの、“格好悪い”って、絶対やらないヒトかと思ってましたから。
…結構サマになってますよ?」
「な……」
何だか照れ臭い。
からかうように見上げた顔に、平静を装い言い返す。
「当たり前。デキる男は何をやってもキマるんだ」
「……ハイハイ」