⑦オオカミさんと。溺れる愛の行く先に【番外編も完結】

「身に覚えはない」

パパ。
確かに俺はフユちゃん(息子、冬喜、3つ)のパパだが。

こんな育ちきったお嬢さんのパパになった覚えはない。

「な、何かのマチガイじゃないのかな?」

「ヤダー、大神さん。カノンのこと、もう忘れちゃったのォ~~?」

取り押さえられたまま、女はシナを作って見せる。
 
「………カノ…?え?」

「………専務」
堂林がキツい顔で俺を睨みつけた。


「し、知らんっ!俺は絶対に

知らーーーん‼‼」 





「全く…光仲(バカ)副社長が出張中だったから良かったようなものの…見つかってたらエライことだ」
 
俺と光仲副社長は、今でこそ社のために休戦中だが、基本的には出世を競うライバルだ。ボロを出せばたちどころに抹殺される。

今、暴れる女を何とか別室に隔離し、堂林に事情聴取させているところだ。

「センザキ(秘書室長)、くれぐれも内密にな」
「はっ。目撃者には直ちに口止めしましたので……しかし大神専務。アンタ本当に……」

ジトッと疑いの眼差しをむける彼。
全くどいつもこいつも。

「やってネェ‼
春先は妙なのが多くて困る……な?センザキ」

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