⑦オオカミさんと。溺れる愛の行く先に【番外編も完結】
「貴方がそう仰ると思って4ヶ月前のスケジュールを確認して参りました」

堂林秘書は、サッとスケジュールメモを取り出した。

…何だかコイツ、急にしっかりしやがった。

俺と仙崎室長がそれを覗き込むと、堂林は4月のある日程をピシッと指差した。

「これですね。『ブラジル大使ご一行様歓迎会』。この時呼んだコンパニオンさんの中に彼女、カノンさんがいらっしゃったようです」

「ああ、前副社長が企画したアレか。しかし俺は……」

「ほら、僕思い出したんですよ。
あの時貴方、向こうのテキーラが合わなくて珍しく酔い潰れてたでしょ」


そういえば……

俺は数ヶ月前の記憶を辿った。

あの日俺は、珍しく体調が悪かった。

無理もない。3日連チャン、オール(徹夜)の接待のちょうど3日目にあたった夜だ。

こっそりソフトドリンクに替えようと、グラスを空けた矢先。

たまたま隣に座ったやたら陽気なブラジリアンが、テキーラをストレートでナミナミと注ぎやがった。
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