⑦オオカミさんと。溺れる愛の行く先に【番外編も完結】

「マツコの真実」

「仲が良いのはケッコウですけどね」

トーコと俺は、同時にモーニングコーヒーを吐き出した。

「もうちょい控え目にデキないわけ?
フユちゃんが起きちゃわないかって、こっちは毎晩ヒヤヒヤなんですけど?」

今朝から3枚目のベーコン・エッグを口にくわえたまま、マツコはこちらを見上げた。

彼女がウチにやってきてから、もう1ヶ月が過ぎていた。
妊娠8ヶ月、腹は順調に膨れ、ついでに彼女自身も膨れている。


「あ~あ、たまにはケナゲな妊婦の2号さんに、パパを譲ってあげようかなって気にはならないわけかしらねぇ…ムグムグ」

「2号ってナぁニ?
ジュウオウジャー?」

「あのね、フユちゃん。2号っていうのは……」


「「ヤメロ(なさい)、マツコ(カノンちゃん)‼」」」

ほぼ同時に椅子を立った俺達を、彼女はシラケた顔で交互に見る。
マッシュポテトをオタマで皿にたっぷり掬い、ガッつきながらに愚痴を言った。

「ハイハイ、何も文句は言いません。
お陰で三食昼寝つき、病院代まで立て替えて貰ってるワケですし?」
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